ふたりはお似合い

最悪な日 ページ1

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［お待たせしましたー！］

「ありがとうございます。」


明るい笑顔のお兄さんから本日5杯目のグラスを受け取る。

目の前の男は、呆れた顔でため息を吐いている。


『…で、話の続きは？』

「だから、彼の家に行ったら彼氏と知らない女がランデブー中だったってこと！」


受け取ったばかりのグラスの中身を流し込めば、目の前の彼が眉をひそめる。


『おい、A飲み過ぎ』

「…飲んでないとやってらんないでしょ？」


付き合って3年記念日にデートを体調不良を原因にドタキャンされ、心配で家に行った所まさかの浮気現場に鉢合わせた。

焦る彼に冷えた笑みを浮かべ、家を出た。

すぐさまメッセージを送った相手は親友の翔太。学生自体からの付き合いの彼には今まで何でも話してきた。

彼はアイドルという特殊な仕事をしているが、それを感じさせないぐらい身近な存在。

すぐに帰ってきたレスポンスに、集合場所の馴染みの店の名前を送り家路を急ぐ。


『お疲れ。…で、何があった？』


何かあれば、飛んできてくれる彼のフットワークには何度助けられたことか。

こらえていた感情を吐き出すように、喋りだし冒頭に戻る。


『Aってさ、ほんとに男見る目ないよな』

「…うるさい。」


今までのことを何でも知ってる彼が言うその言葉は何より重い。


「…幸せになりたいだけなんだけどなあ」


汗をかいたグラスをなぞりながら漏らした言葉。


『…』


残ったグラスの中身を煽り、もういっぱい注文したところで私の記憶は途切れた。




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