右ストレートはお預け ページ13
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(今日も疲れたぁ…)
会社から出ようとした時、外に立っている人影に目がいく。
「嘘でしょ…」
暗いし、遠いけどはっきり分かるその人は私の元カレだ。
ドラマならきっと、このまま出ていって鉢合わせて…という展開だろうけど、生憎そこまで馬鹿じゃない。
正面玄関ではなく裏口から出て、ちょっと遠回りにはなるが家路を急ぐ。
しばらく歩いていると人が走ってくる音が聞こえた。
[A！]
一生聞きたくなかった声に聞こえないふりして、小走りで進む。
(なんでこんな日に限ってヒールなのよ！)
鞄から急いで携帯を取り出し、ある人に連絡する。
きっと彼はこの時間家にいるはずだ。
『もしも「翔太！助けて」っ今どこ？！』
手短に場所を告げて、痛む足に顔を歪めながらもスピードは落とさない。
[おい！待てって]
ガシッと掴まれ、無理やり後ろを向かされたことで足首がズキリと痛む。
でも、弱みを見せたくなくて無理やりなんでもないという顔をして彼と向き合う。
「何の用？」
[…あの日のことは間違いなんだよ]
「間違い？やることやっといて何言ってんの？」
[俺にはお前しかいないんだよ。]
「ドラマかよ。あんな事しといてそんな安い言葉でどうにかなると思ってんの？
…二度と私に近づかないで。」
脈打つように痛む右足を根性で隠し、家路に戻ろうとした。
でも、上手くいかなかったのは…
「っ痛い！離して」
[こっちが下手に出てたら調子に乗りやがって！]
彼の発言に、プツリと切れた堪忍袋の緒。
力いっぱい拳を握り込んだ時、
「いい加減に、『おい！』…タイミング！」
『え？ごめん』
彼の蛮行と私の右ストレートを止めたのは、翔太だった。
私の言葉に一瞬ビックリした顔をしたが、すぐに私の足元を見て顔を歪める。
『おい、離せよ。』
[お、お前何『離せよ！』っ、]
彼の怒鳴り声に怯んだ隙に彼の腕から抜け、翔太の元へといく。
優しく包まれる体温で、やっとゆっくりと息を吐ける。
『遅くなった。』
「…いや、来てくれてありがとう。」
私の頭よりも高い位置から掛けられる低くて声と、ちょうど耳元で聞こえるいつもより早い鼓動。
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よちよち(プロフ) - 初めてコメントします。毎日楽しみに読ませて頂きました。いいですね🥰翔太くんのデレ感‼️読めてキュンキュンしました‼️ (4月10日 3時) (
レス) @page16 id: bee34b06b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづ(プロフ) - はじめまして。楽しく拝見させていただいているのですが言葉の誤用が気になったのでお知らせです。定員→店員。あと役不足という言葉は間違えやすいですが反対の意味ですよ。これからも素敵な作品期待しています!！ (4月5日 23時) (レス) id: 054daa6dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年4月4日 23時
