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宮「お待たせ致しました。アジのなめろうです。」
飲み物のメニューを見ていると、コトンと目の前に置かれた小鉢。ユイが追加してたのこれだったんだ…
ユイ「美味しそ〜」
宮「宜しかったら日本酒とご一緒にいかがですか？」
その言葉に2人してゴク、と喉が鳴る。
そんな私達を見て、クスリと笑った宮舘さん。
おすすめの日本酒をいくつか教えて下さって、頂くことにした。
宮「…素っ気ない態度取ってごめんね」
「へ…」
トクトクと注がれていくのを眺めていると、不意に声を掛けられた。
視線はグラスからゆっくりと私に向けられて、やっぱり今の私に言った…よね？
ユイ「…ちょっと仕事の電話して来る」
おそらく私達が初対面ではないことを察したユイが席を外してくれた。気にせず話せという彼女なりの計らいだろう。
周りを見渡すと、入って来た時より落ち着いていて少しくらいなら私と話していても大丈夫なんだと思う。
「きちんとご挨拶も出来ずで…申し訳無いのはこちらです。」
宮「それは全然。改めて歓迎会するって康二が張り切ってたし、その時で構わないと思ってたから。
Aさん…だっけ？」
「はい。椿Aと申します。
95年生まれの25歳です。
さっくんと同じ職場で働いてて…」
えーっと、後は…と思考を巡らせていると「ふふ」と宮舘さんが笑った。多分、初めて。作り笑いじゃなかったのは。
宮「ご丁寧にどうもありがとう」
「いえ…よく考えたら、素性もよく分からない女がいきなり同居人になるなんて怖いよなって…」
宮「…心配無いだろうなとは思ってたんだけどね。」
「え？」
「これもどうぞ」と宮舘さんがちくわの磯辺揚げを出してくれた。サービスだって。
ドンピシャで大好物が出されたことに動揺する。
エスパーか何かなの…？掴めない。
宮「Aさんを歓迎してないわけじゃないの。
ただ…やっぱりうちの末っ子のことを思うとすぐに はいどうぞ、とは言えなくてね。」
「はい…」
宮「これからゆっくり知って行かせて？Aさんのこと。」
上品な彼の口から放たれると、口説き文句のようにさえ聞こえてしまうのだから不思議だ。
薔薇を背負ってるみたいに思えてくる。
宮「うちの店ならいつでも来て貰って構わないから」
「是非、また来たいです」
今度は康二くんが居る時に。
そう伝えると宮舘さんは「騒がしいから覚悟してて」と困ったように微笑んだ。
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年4月5日 23時
