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「お疲れさまー」
佐「うぇーいカンパーイ」
ジョッキがぶつかると、さっくんは一気に半分くらい飲んで、ぷはー!って息を吐く。
「良い飲みっぷりだね」
佐「でもひと口で満足しちゃうんだよね」
「ちょっと分かる」
一杯目には持ってこいなんだけどねって言ったら分かる分かるって共感してくれて、2人でふふって笑った。
佐「なんか頼んだー?」
「あ、お任せしたよ
ちくわだけ自分で言った」
佐「好きなの?ちくわ」
「好きなの。ちくわ」
佐「そういえば去年さ、遠足のお弁当に絶対ちくわ入れてたよね」
「よく覚えてたね?」
普段は給食だけど、遠足の日は子ども達と一緒で保育士もお弁当を用意する。
去年さっくんとは一緒に年長さんを担任していたとはいえ、まさか私のお弁当の中身を覚えてるとは思わなかった。
佐「ほら、Aちゃん毎回可愛いお弁当作ってたから子ども達と見せ合いっこしてたじゃん?
その度にみんなが"先生またこれ入ってるー!"ってはしゃいでたからなんかそれだけ覚えてんだよね」
「そう言われたらそうだったね」
向「さっくんの弁当は大体俺が作っとったよなー
ほい。お目当ての磯辺揚げ」
目の前に置かれた磯辺揚げはやっぱりすごく美味しそうで思わずわーって声が出た。
向「今年はAちゃんに作って貰ったら?」
「ん?なにを?」
向「あ!聞いてなかったなー!」
ちくわに気を取られて康二くんの言葉を聞き流してしまったらしい。わざとほっぺを膨らませてプイッてそっぽを向いた康二くんが可愛くて笑う。
「あはは ごめんごめん、なに?」
向「お弁当!Aちゃんに作って貰ったら?って
さっくんAちゃんの手料理食べたことないし丁度いいやん!」
佐「こーら。勝手に決めないのー
Aちゃんだって朝忙しいんだから」
「俺は忙しくないとでも!?」ってまたプンスカし出す康二くん。くふ。ほんとおかしい。
「いいよ。作るよ。
康二くんの作るのより上手じゃないと思うけど…」
佐「え、ほんとに言ってる?」
「うん。
今年度わたし遠足ないもん」
乳児クラスは幼児クラスの遠足の日にみんなでお散歩には行くけど、ご飯は園に帰ってから食べるからお弁当が要らないのだ。
佐「大変だったら無理しないでいーよ?
康二に作って貰うし」
向「だから!俺の扱い!」
「んふふ」
無理しなくていいって言う割には嬉しそうにニコニコしてるから、作ってあげたくなっちゃうんだよ。
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作者名:あむ | 作成日時:2024年4月5日 23時