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そこに写っていたのはひまわり畑を見つめる私。
康二くんが操作して次に見せてくれたのは、撮った写真を見返す私。
「これ…いつの間に?」
海を眺める私の写真もあった。
全然気がつかなかった。
向「ええ写真やろ?
俺なかなかセンスあんねんでー?」
康二くんが見せてくれたのは私が知らない私の顔。
頬を緩める私は、楽しそうで、幸せそうだった。
それは全部、さっくんのことを想っていた瞬間。
向「こんな可愛いのに、隠さんでええよ。
好きなら好き!ごちゃごちゃ考えんと素直になんのが1番やで?」
「でも…いいの…?」
向「嬉しいんよ。
Aちゃんがさっくんを好きになってくれて。
自分の好きな友達のこと、こんないい子が好きって言うてくれてんねんで?
俺はさっくんの友達やけどAちゃんの友達でもあるから。応援するよ」
「ありがとう…」
鼻の奥がツンとした。
波の音を聞きながら康二くんが教えてくれる。
向「いっちばん最初、Aちゃんが酔っ払った日あるやろ?あの日部屋まで運んだん誰やと思う?」
「え?康二くんじゃないの?」
向「さっくんやで」
テーブルの上の置き手紙が康二くんからだったから、てっきり康二くんが運んでくれたんだとばかり思っていたのに…
向「Aちゃんのこと心配やってさっくんよお言うけど…なんとも思ってへん子にそこまで干渉せぇへんはずやけどな」
「…さっくんは優しいから」
向「それと独占欲はまた別の話やんか」
「ど、独占欲?」
向「自分以外の奴に触られたくないんも、自分のコップとか服貸すんも、手料理食べたがるんもそれ以外ある?」
にひっていたずらっ子みたいな笑顔。
向「ま、本人自覚なしやけどな!」
「〜っ…やめてよ、期待しちゃうじゃん…」
向「ええように捉えたもん勝ちやで?」
ポン!と私の背中を叩いた康二くんは、そろそろ帰ろ!って手を差し出す。
ん?って不思議に思ってるとグッと引かれて。
向「砂!歩きにくいやろ?」
康二くんは私の手をを掴んだまま歩き出すから、慌てて着いて行く。
向「んはっ こんなんさっくんに知られたら機嫌悪なるんやろなあ」
「もう…からかってるでしょ?」
康二くんと出掛けたぐらいじゃ、へ〜!楽しかった?で終わるのがオチ。
溜息が出そうになったけど、
向「むしろヤキモチ妬かすっていうのもありか!」
当事者より楽しそうな彼を見てたら、モヤモヤなんて飛んでいく。
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作者名:あむ | 作成日時:2024年4月5日 23時