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蓮side
「りょうにいちゃん、」
バタバタと大ちゃんを追いかけていった兄の背中を追いかけた。泣き続ける康二くんを置いて。
知りたかった。
まだ幼いから、と何も教えてもらえないのなら、知らなくてもいいかなんて強がっていたけど、本当はずっと。
大好きな兄たちの泣く姿が脳裏に焼き付いて、離れないから。
真実を知りたかった。
大切な兄がボロボロと泣いた日に、何があったのか。
必死にパパの手を掴んでいたあの時、何を望んでいたのか。
“1番上のおにいちゃんは頭が良くて、優しくて、かっこいいです”
“いつもぼくの味方をしてくれます”
“そんなにいちゃんが大好きなので、ぼくは大きくなったら_____…”
俺はあの時、なんて言った?
ずっと変わらない大切な兄に対して、どんな気持ちを抱いてたんだっけ。
大「蓮くん、」
亮「…ぐすっ、」
大ちゃんに背中をさすられていた亮ちゃんはゆっくりと振り返った。
たくさんの涙を流しながら。
…そうだ、あの時、
「おれが、“にいちゃんたちを守る”から」
こんな俺に何ができるのかなんてわかんない。
でも、俺にとってにいちゃんたちは目標で、大切で。
唯一無二の2人だから。
顔も思い出せないママ。
2人を泣かせるママ。
ママは俺の家族なの?
大切な人を泣かせるような人が、家族なの?
家族の定義がわからない。
血の繋がりだけならば、目の前にいる大ちゃんは家族じゃない。
涼太くんたちだってそう。
それでも確実に、3人は俺の兄貴で、真都は俺の弟だ。
バタバタとリビングに戻って、煌びやかな飾り付けをされた部屋には似合わない泣き顔を晒す康二くんに飛びついた。
「大丈夫、俺はずーっと、康二くんが好きだからね」
俺と対等でいてくれる康二くんが好きで、
笑っている康二くんが好き。
ママがなんて言おうと康二くんは俺の兄貴で、邪魔なんかじゃない。
康「れ、ん、」
「大好きだから泣かないで、」
10歳の誕生日。
俺は康二くんを守る覚悟を決めた。
亮ちゃんを守る、頼りないヒーローになると決めた。
「パパ、ママに会わせて」
照「は、!?」
俺にも教えて。
隠さず教えて。
俺にも、みんなの苦しみを少しでいいから背負わせて。
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鯱(プロフ) - 苺みるくラテさん» ありがとうございます…!! (12月23日 17時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (12月18日 1時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
鯱(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!これからもお付き合いください! (9月13日 4時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵なお話で、読みながら泣いてしまいました笑読みやすくて、これからどうなっちゃうの?!といつもドキドキしてます😵💫💗続きが楽しみです!無理せず頑張ってください!!応援してます(><)♡ (9月11日 8時) (レス) id: 9574711b70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鯱 | 作成日時:2023年9月2日 23時