. ページ6
辰哉side
照『…俺が止まれるかわかんねーから、もしものために見守っててほしい』
珍しく弱気な照は、蓮の手を握りながら頭を下げた。
…そんなことしなくったって、俺が断るわけねーのに。
涼「…これ、俺居ていいやつなの？」
「さぁ。まあでも2人の方がカモフラージュにはなるっしょ。大介は学校だし、翔太は顔見られてるし」
というか、俺より照のこと物理的に止められそうだし。
その言葉をグッと飲み込んで、目の前で紅茶を飲む息子を見つめた。
…ほんと、カフェとか似合う男になったなぁ。
誰に似たんだか。
からん、と音を立てて開いた扉。入ってきた女性はまっすぐ照と蓮の元へと歩いていって。
真っ赤な口紅と、ハイヒール。
この店に似合わないその姿に、あれが母親かと、あまりいい印象は持てなかった。
母「…あら、蓮じゃない！連れてきてくれたのね！」
照「おい、」
母「ママよ！昨日誕生日だったわよね？おめでとう！」
照「触んな！」
少しだけ大きな照の声がよく通った。
蓮は照の服を掴み、驚いた女性は固まった。
照「…座れ」
母「わかったわよ。そんなに大きな声出さなくてもいいじゃないの。蓮も怖がってるわ」
照「今日は蓮を会わせるために来たんじゃない。康二の話をしにきたんだ」
康二の名前が出た途端、わかりやすく引き攣った顔。
涼太からは一応見えない位置に座ってはいるけど、表情ひとつ変えてなかった涼太も話を聞こうと動きを止めた。
母「…なによ」
照「康二に接触したらしいな」
母「やだ、変な言い方しないでよ。母親なんだから話しかけるくらいいいじゃない」
照「康二ばかり邪魔者にしたのはお前だろ。康二の中でお前がどれだけ恐怖の対象になってるか、わかってないんだな」
母「ちょっと！私は何もしてないわ！しつけよあれは」
照「他の兄弟との差をつけるだけでなく、何もしてない子どもに暴言を吐くことがお前のしつけなら、母親失格だ」
カァ、と赤くなった顔。
気まずそうに店員さんが出した水を、照にかけようと手を伸ばした。
流石にまずい。
そう思って立ち上がりそうになった時、黙っていた蓮が声を上げた。
蓮「_____はじめまして、ママ」
その声は力強くて。
母親の手はぴたりと止まり、驚いたように照も蓮を見つめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鯱(プロフ) - 苺みるくラテさん» ありがとうございます…！！ (12月23日 17時) (
レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (12月18日 1時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
鯱(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！これからもお付き合いください！ (9月13日 4時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - コメント失礼します！凄く素敵なお話で、読みながら泣いてしまいました笑読みやすくて、これからどうなっちゃうの？！といつもドキドキしてます😵💫💗続きが楽しみです！無理せず頑張ってください！！応援してます(><)♡ (9月11日 8時) (レス) id: 9574711b70 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鯱 | 作成日時：2023年9月2日 23時
