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涼太side
時計の針が少しずつ6に近づいてきて、それでも未だ解放されることのないこの空間には相変わらず重たすぎる空気が流れていた。
辰「…涼太」
「ん?」
辰「先、帰ってご飯作ってくんない?」
「え、」
辰「どうせ康二も大介もお昼食べてないだろうから。康二の好きなもの作ってやってよ」
お昼を過ぎた頃に送ったメッセージには未だ返信はなく。
翔太のことだから見てないわけがなくて。
「…わかった」
こっそりと他の部屋とは対照的な空間から抜け出した。
…というか、康二だけじゃなくて佐久間も?
父さんの言った意味がよくわからなくて、首を傾げた。
学校に行ったはずの彼には、きちんとお弁当を用意したはずだった。
「ただいま」
翔「おかえり。康二、涼太帰ってきたぞ」
康「…おかえり、」
「うん。晩ご飯、青椒肉絲にしようと思ってるんだけど、食べられそう?」
康「……ん、」
明らかに小さくなって怯えて、過去に耐えてる康二。その隣で、困ったように眉を下げながら寄り添う翔太と目が合った。
残されたままの昼食。
康二の分だけじゃなくて、翔太の分まで丁寧にラップされたまま残っていた。
…翔太はそういう人だから。
誰かの影響を受けやすくて、自分のことも二の次になってしまうような。
大「…ただいま、」
「おかえり。お弁当出しといて」
大「……ごめ、たべてない、」
「…そう。夕飯は食べれそう?」
大「食べる。ごめんね。」
元気なさげに、申し訳なさそうにお弁当の中身を捨てて自分で洗い始める佐久間。
学校から連絡がなかったってことは、ちゃんと行ってたはず。
あまり踏み込みすぎないように、なんて思ってたけど、やっぱり気になるものは気になる。
でもこの場で聞けるほど、俺も翔太も強くはなかった。
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鯱(プロフ) - 苺みるくラテさん» ありがとうございます…!! (12月23日 17時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (12月18日 1時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
鯱(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!これからもお付き合いください! (9月13日 4時) (レス) id: 621b904b7b (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵なお話で、読みながら泣いてしまいました笑読みやすくて、これからどうなっちゃうの?!といつもドキドキしてます😵💫💗続きが楽しみです!無理せず頑張ってください!!応援してます(><)♡ (9月11日 8時) (レス) id: 9574711b70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鯱 | 作成日時:2023年9月2日 23時