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◇◇◇
[宮舘 side]
振付師「渡辺!」
渡辺「すみません!」
振付師「遅い!」
渡辺「すみません!!」
振付師「お前いい加減にしろ!次ミスったらおろす!」
渡辺「すみません!!!」
Aのことを知った次の日の滝沢歌舞伎の稽古。
翔太はボロボロで正直使い物にならない状態だった。
滝沢「翔太、舘さん、ちょっと」
舞台をおろすと警告された翔太とシンメの俺を座長を務める滝沢くんが呼び出した。
滝沢「何があった?」
渡辺「…」
滝沢「翔太、言え。何があった?」
渡辺「…」
滝沢「このままじゃお前のせいで涼太もおろされるぞ…下手したら仲間全員道連れだ。それでもいいのか?」
渡辺「A…Aが…」
滝沢「A?」
宮舘「俺達の幼馴染です」
ポロポロと涙を流しながらAのことを話す翔太。
滝沢「…そうか。で、お前はどうしたいんだ」
渡辺「…え?」
滝沢「その子のもとにいたいとか、その子が所属する会社に殴り込みにいきたいとか…」
ないのか?と聞く滝沢くん。
渡辺「…わかんないです。わかんないんです…」
号泣しながらそう言う翔太を滝沢くんは無言で見つめる。
滝沢「…舘さん」
宮舘「はい」
滝沢「今日はこいつ連れて帰って?そんで明日また連れてきてくれる?」
宮舘「…わかりました」
滝沢「すまんな」
宮舘「いえ…」
とりあえず俺達をおろすのは保留にしてもらうから帰って面倒をみてくれと頼まれた。
渡辺「…ごめん。涼太…」
滝沢くんに帰るように言われたあと、俺達はすぐに荷物を持って稽古場を出た。
宮舘「Aのとこ行く?」
未だに泣き止まない翔太にそう聞けば、うんと頷く。
帰るのに使えと言われ渡されたタクシーチケットで俺達はAがいる病院へ向かった。
病院へ着いた俺達は受付をしてAの病室に行く。
宮舘「失礼します」
そう言ってドアを開けると、中には昨日と変わらないAの姿。規則的な機械音がAが生きていることを示す。
2人で並んでベッドの隣にある丸椅子に腰を下ろす。
渡辺「…」
Aを見つめ続ける翔太。今はせかしてはいけないとわかっているから、俺も一緒にAを見つめる。
暫くすると翔太はAの手を握った。
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作者名:雪 | 作成日時:2024年4月6日 18時