紅一点×SnowMan⑨ (ページ33)

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side NAGASE ページ33

目の前の大画面を真剣に見ながら、
時々驚いた顔をしたり、顔を顰めたり。

映画を見るよりも、
コロコロと変わる彼女の表情を見入っていた。

この人は俺の下心なんて全く気づいてないんやろな。

コロナが始まる前も、
夜に2人でベランダで話し込むことは何度かあった。

その時はただの先輩というか、
お姉さんに近い感覚だったと思う。

話すテンポ、内容、雰囲気。
彼女とのその時間は居心地が良かった。

また、同じ業界、それも同じ事務所で
働く人間として尊敬もあり、安心感もあり。

気を遣うことなく仕事やプライベートの話をできる相手、
そんな認識やった。

いつからだろうか、
そんな彼女に対して他の想いを抱くようになったのは。

一つ明確なのは、彼女の家に入る
北斗くんを見た時からやった。

ただならぬ雰囲気を感じて、
Aと北斗くんの関係をなんとなく察した。

俺の知らん彼女の姿を見てるんやな、
そう思うとなんとも言えない感情を覚えたのは確かで。

もっと彼女に近づきたい。彼女の全てを知りたい。
そんな気持ちが日に日に大きくなってきた。

『わあっ、、、。』

おそらくこの映画の
1番グロテスクなシーンが始まったぽい。

それまでは少し距離を離しながら映画を見ていた彼女も
怖くなったのか、俺との距離をゼロにしている。

そこに便乗して、彼女の手に触れた。
少しビクッとさせていた彼女も、
それ以上の恐怖があるのか、そのまま握ってくる。

わずかな汗と、強い力で
彼女が怖がっているのが十分に分かった。

「怖い？」

『うん、、、。ちょっとこのシーンは苦手かも。なんだかリアリティがある。』

お化け屋敷と大差ないと思うんやけど。

映画は大丈夫で、お化け屋敷があかん人は多いけど、
逆はなかなかないんちゃうか？

うっすらと涙を溜めるAを見ると
理性がなくなりそうになる。

年上の人に対して抱く感情としては変かもしれないけど、
ただただ可愛い。